土屋教授らがNature geosci.に研究成果発表(6/16)

 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の王賢龍研究員,土屋卓久教授,長谷淳史大学院生らの研究グループは,地球マントル深部の高温高圧条件下における鉱物の地震波速度を世界で初めて詳細に計算し、下部マントルの化学組成に重要な制約を与えました(王研究員は現在中国科学院准教授,また,王研究員(GRC在籍時),土屋教授は東京工業大学地球生命研究所(ELSI)兼務)。

 この研究成果は2015年6月15日付のnature geoscience誌電子版にて公開されています。
X. Wang, T. Tsuchiya and A. Hase, Computational support for a pyrolitic lower mantle containing ferric iron, Nature Geoscience, doi:10.1038/ngeo2458, 2015.

記者会見する土屋教授

記者会見する土屋教授

 地球全体積の50%以上を占める下部マントル(深さ約660kmから2890km)は,直接岩石を採取することがほぼ不可能な領域のため,その物質構成は長く未解明であり,地球深部科学において長年にわたる謎の一つとなっていました。下部マントルは地球内部最大の領域であり,その化学組成の解明は地球の成り立ちや進化を理解するための重要なカギとなります。
 GRCの数値計算部門では,量子力学の基本原理にもとづいて物質の化学結合をシミュレートする第一原理電子状態計算法に基づき,種々の下部マントル物質の弾性特性を圧力や温度の関数としてできるだけ精度よく計算し,地震波速度や密度の観測値をよく再現する岩石モデルの探索を行いました。その結果,ブリッジマナイトと呼ばれる鉱物とフェロペリクレースと呼ばれる鉱物がおよそ8対2の体積比で混合したパイロライトと呼ばれる岩石鉱物モデルが地震波の観測に基づく地震波速度・密度モデル(PREMモデル)を最もよく再現することが分かりました。
 今回の研究成果により,現在のマントル全体の運動の様子や,地球の原材料物質についての理解が大きくすすむことが期待されます。

【参考HP】
東京工業大学地球生命研究所 (http://www.elsi.jp/ja)
nature geoscience (http://www.nature.com/ngeo/index.html

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