"American Mineralogist"はアメリカ鉱物学会が発行する伝統ある専門誌です。このほど、東京工業大学河合研志特任助教とGRC土屋卓久教授により同誌に発表されたKホーランダイトの高圧弾性特性に関する共同研究の成果が、同誌の"Notable
Article"(注目論文)に選出されました。Kホーランダイトは下部マントルにおけるKの主要ホスト相と考えられています。その弾性特性や高圧相転移について第一原理計算法により調べた結果、(1)
KホーランダイトからKホーランダイトIIへの転移が2次の強弾性相転移であること、(2)
相転移が深さ670km付近で強い弾性異常を伴って生じること、(3) Naの固溶効果や陽イオン配列はこれらの挙動に大きな影響を及ぼさないこと、(4)
KホーランダイトIIは下部マントルを超える圧力領域まで力学的に安定であることなどを明らかにしました。ちなみにKホーランダイトIIはGRCの入舩徹男教授や八木健彦特命教授らにより2004年に実験的に発見され、沈み込む大陸地殻関連物質中で重要であることが、アメリカ地球物理学連合の専門誌
"Geophysical Research Letters"に報告されています。
図:Kホーランダイトの力学的安定性を示す2種類の指標。約17GPa付近で負に なり、弾性不安定化が生じて、格子が歪む。この結果はNaの固
溶量や陽イオン 分布に依存しない。
アメリカ鉱物学会誌の注目論文に選出