“American Mineralogist”は1916年に発刊された,アメリカ鉱物学会 (MSA) の伝統ある国際的科学誌です。この雑誌にフィレンツェ大学・モスクワ大学・愛媛大学の連名で投稿された,下部マントル鉱物中のクロムの挙動に関する研究成果が,同誌編集委員会の推薦により2014年4月号の注目論文に選ばれました。
本論文は,モスクワ大学修士課程のSirotkinaさんが,23万気圧・1600度という高温高圧下で合成した試料から見つかった,クロムに富むMgSiO3ペロブスカイトの結晶構造を解明したもので,地球のマントル深部におけるクロムの挙動に重要な制約を与えるものです。Sirotkinaさんは,2012年と2013年にそれぞれ2か月程度GRCに滞在し,入舩徹男教授の指導のもとクロムに富むザクロ石の高温高圧下での挙動に関する研究を行いました。
GRCとモスクワ大学地質学部とは,本年度新たに部局間学術交流協定を締結し,現在いくつかの共同研究をすすめています。著者の一人であるSirotkinaさんは,GRC滞在中の成果をいくつかの論文として報告しており,本学理工学研究科の博士課程先端科学特別コースへの入学に向けて準備中です。また,本論文の筆頭著者であるフィレンツェ大学のLuca
Bindi教授とGRCの入舩教授らは,GRCを中核とする共同利用・共同研究拠点PRIUSにおいて,下部マントル鉱物の結晶構造に関する共同研究をすすめています。
対象論文:L. Bindi, E. A. Sirotkina, A. V. Bobrov, T. Irifune, Chromium solubility
in perovskite at high pressure: The structure of (Mg1-xCrx)(Si1-xCrx)O3
(with x = 0.07) synthesized at 23 GPa and 1600℃, American Mineralogist,
99(4), 866-869, doi: 10.2138/am.2014.4784, 2014.
GRCの成果がAmerican Mineralogist誌の注目論文に(4/4)