専攻は地震学ですが、主に地震波を使った地球内部構造の研究をしています。もともと、地震そのもの(地震活動、地震発生のプロセス、地震予知など)に興味があって、地震学を学んでいました。
「マントル対流のなぜ起きるのか」。これは、私が北海道大学の大学院入試の勉強をしている時に、過去問として出てきた設問です。この時の私には答えが全くわかりませんでした。そのせいか、数ある設問のうちの一つであるのにも関わらず、なぜかずっと頭に残ってました。これが、地球内部構造、とりわ けマントル・ダイナミクスに興味を持つきっかけになりました。
そこで卒論のテーマに選んだのが「マントル対流の数値モデル」でした。卒論といっても、北大ではレビューがほとんどだったので、実際には研究はしませんでしたが、深く勉強することができました。このときになってようやく、マントルの粘性(固体でも流動するため粘性が存在します)や温度分布、層の
厚さを考慮すると、論理的に対流が起きるのが必然であることを知りました。そして、その当時はまだ観測の面でも数値実験の面でもマントル対流の様子がほとんど分かっていなかったことを知ります。
こうして、マントル・ダイナミクスへの関心が次第に深まっていきました。そこで、地震波の一種である表面波を解析することで、マントルの流れの一端をとらえようとしてきました。
マントル中に流れがあると、温度分布や物質 分布が不均質になるために、地震波の伝わる速度が早いところと遅いところができてきます。また、流れによって
物質の結晶方向が揃えられ異方性が生じ、地震波速度が方向によって変わるという
現象も見られます。表面波はこれらの影響を受け、さまざまな異常を 生じます。この異常を観測して解析し、その原因であるマントルの流れを探っ
てきました。
最近は、国立極地研究所に在籍していた経験から、南極プレートの地下構造に興味がうつりつつあります。南極プレートはまわりを海嶺で囲まれています。これはゴンドワナ大陸時代に南極大陸と他の大陸の間に亀裂が生じ、大陸がど
んどん離れていったことを示しています。南極地域はゴンドワナ大陸の分裂の
重要なカギを握っていると考えられています。
しかし、南極地域はこれまでその自然環境の厳しさから、なかなか地震計の観測網が発達しませんでした。近年になってようやく高感度の地震計が充実し、高精度のデジタル記録も得られるようになり、地下構造の研究が進みはじめてきました。表面波の記録も多く集まってきています。そして、これらの記録を使って、大陸全体の平均的な(1次元の)構造を求めることができました。今後は、さらに多くのデータを使って、表面波トモグラフィーという技術(医療ではCTとして知られている技術)で、3次元での構造を明らかにしていく予定です。
本センターに来て約3ヶ月、センターが設立してまだ間もないのと同様、私もまたホヤホヤの新人です。
これまでは民間の企業にいましたので、当初は(今もまだ?)愛媛大学の構成等わからないことだらけでしたが、
先生方や職員の皆様にいろいろ教えていただいております。現在は、ホームページやNews
Letterの作成等をしております。今回初めてホームページを作成いたしましたので、まだまだ修正
(各ブラウザによる画像等のずれなど)するところがございますが、徐々に更新する予定です。
ぜひホームページをご覧いただき、ご意見、御感想等をいただけたらと思います。また、
現在は理学部本館1階の西の部屋におりますので、気軽に声をおかけ下さい。
小林 励司
(研究機関研究員)
目島 由紀子
(研究支援推進員)