少し遅ればせながら、新年おめでとうございます。本ニュースレター上で年頭のご挨拶をするのも、早くもこれで4度目になります。一昨年から始まった大型科学研究費の助成による「学術創成研究」に加え、昨年秋からは新たに地球深部科学関係の「特定領域研究」が開始され、これらにより新たな設備の導入や研究員・研究補助者の採用がおこなわれ、GRCの研究環境も年々整備されつつあります。
 この結果研究成果も順調にあがりつつあり、昨年1年間だけで27編の論文がNature誌をはじめとして国際誌に掲載あるいは印刷中であり、9編の論文が査読中の状況にあります。地球科学分野のGRC教員が現在5名であることを考えると、かなり高いレベルの研究活動が展開されつつあると自負しています。今年は2度目の研究活動報告書出版の年であり、これをもとに来年度中にはGRCの外部評価を考えており、より客観的な評価を受けたいと考えています。
 一方教育に関しては、本学に新たに開設された「スーパーサイエンス特別コース(SSC)」の初めての入試が昨秋おこなわれました。GRCの関係する「地球惑星科学コース」にも、研究者を指向する意識の高い学生3名の入学が確定し、将来を担う人材として期待が寄せられています。SSCを支える教員に関しても、学内措置の新定員に対して現在人事選考をおこなっており、今後より一層の研究教育の活性化が期待されます。
 少数で出発したGRCですが、教員、研究員、それをサポートする事務系職員、また大学院生など、年々その数は増えており客員研究員も含めると総勢80名を越える大所帯になりつつあります。このこと自身は誠に喜ばしいことですが、所帯が大きくなるにつれ、コミュニケーション不足による摩擦が増大するのも世の中の常であり、GRCもまたそのような問題と無縁ではない徴候も見受けられます。特にGRCには多くの外国人研究者や留学生等が在籍、また長期・短期に滞在しており、相互コミュニケーションの問題は今後増々重要になってくると感じております。
 ところでこの年末年始は久しぶりにのんびりと過ごし、SSCの教育や人間関係のことに頭をめぐらせながらも、何冊かの本を集中的に読むことができました。その中でも最近はやりの斎藤孝・明治大学教授の一連の本、特に岩波書店の「コミュニケーション力」と宝島社の「教え力」の2册は大きな示唆に富むものでした。前者中の「コミュニケーションとは情報と感情のやりとりである」とする筆者の持論は、当然といえば当然ですが目から鱗が落ちる思いでした。また後者の著作からは、いかに私自身が「教師」として失格であるか思い知らされ、今後のSSC教育においても重要なキーポイントを掴んだような気がします。
 少々私ごとになってしまいましたが、ついでにもう少し私ごとを書かせていただくと、今年は是非TOEICに初挑戦したいと考えております。英語によるコミュニケーション力の重要性は外国からの客人の多いGRCにおいて特に重要ですし、SSCの学生に恥ずかしくない英語力をつけるのは我々教員の責務であると思われます。昨年大学生になったばかりの娘に挑戦状をつきつけられたのが発端ですが、とりあえずは1人でこっそり受験し、いずれは(アカハラにならない程度に)GRCスタッフにも広めていきたいと考えております。



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入舩 徹男