この5月でGRCが発足してちょうど4年経ちました。当初理学部からの振り替え定員4名と工学部からの2名に加え、純増定員1名と外国人客員定員1名の計7(+1)名の定員でスタートしましたが、昨年度学長裁量定員の措置により、更に助教授1名の採用が可能になりました。公募の結果、数値計算を手法とするアクティブな若手研究者を採用することができ、GRCにおける地球深部科学の新しい展開が期待されます。
この4年の間にGRCの助手2名が、東大理学部および岡山大地球物質研の助教授として栄転になりました。少ない定員の中で、教員の転出は短期的には大きな痛手ではあります。しかし研究センターとしてのアクティビティーを常に高く保つためには、常勤の教員といえども一定の出入りが必要です。特に若手研究者には、GRCで良い研究成果をあげていただき、ある程度の期間が過ぎたら外に出ることを奨励したいと考えています。
  このようなことも鑑み、上記の助教授定員、および現在公募中の助手には5年の任期をつけ(ただし再任可)ました。また今後も基本的に新しい採用者、あるいは場合によっては現教員にも、任期制の導入を考えたいと思っています。勿論、センターとしての方向性や継続性を維持するためには、核となる部分も必要であり、機械的に任期制を導入するつもりはありません。しかし、任期制がないことに安住し、それが組織の発展にとって障害になることがないよう注意する必要があります。
  一方で、GRC教員には研究面での卓越した成果が求められるとともに、新たに始まったスーパーサイエンスコース(SSC)の学生の教育や、全学の顔としての広報活動など、様々な任務が科せられています。これに加えて、センター設立の経緯から、関係学部における教育や諸会議への出席など、様々な仕事の分担をしています。しかし、現状ではGRC教員の研究以外の業務は増加する一方であり、今回の任期制導入と連動し、今後はGRC教員に求められる上記の本務に対し、より集中できる環境を整えたいと考えます。
  このような特に法人化後のGRCを取りまく状況の変化を考慮し、今年度からGRCの体制および学部や学科との関係に関して、抜本的な改善を試みたいと思います。まずGRCの組織に関しては、ゆるやかなグループ制は維持するものの、従来の部門制を廃し、人事や新しい研究分野への柔軟な対応を可能とする体制への移行を考えております。また、関係学部・学科との連携も、従来の枠組みにとらわれず、新分野の開拓や学際的研究の展開、またSSCの教育といった見地からの新たな方向性を見出したいと考えます。
  GRCは現在外国人客員定員を含めても教員定員9名と、本学の3つの研究センターの中では最も小規模であり、学内外の教員や研究者との連携がその研究・教育活動の1つの重要な鍵を握っています。このような視点から、多数のGRC研究員(学内)と客員研究員(学外)を委嘱し、活発な共同研究を展開しています。今後これらの研究員との連携を更に強め、先端的地球深部科学の推進はもとより、本学における新たな学際的研究分野推進の核となることをも目指したいと考えています。




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入舩 徹男