第6回GRC地球深部科学国際レクチャ- & 12th GRC International Frontier
Seminar 開催報告
"Phase transformations: From thermodynamics to geodynamics"
講師:Craig R. Bina(ノースウエスタン大学教授,GRC外国人客員教授)
日時:2005年6月14日 13:30-16:30
2005年6月15日 9:00-12:00
場所:総合研究棟6F会議室
マントルダイナミクスの専門家で、特にスラブの沈み込みに関し世界的な業績をあげて
いる本研究センター客員教授のCraig R. Bina氏による講義とセミナーが、この6月14日と
15日の2日間にわたり開催されました。GRC関係者のみならず、岡山大、九州大などを含
め約60名ほどの参加があり、興味深い内容に熱心に耳を傾け、活発な議論が交わされ
ました。
講義でははじめに鉱物の熱力学や相平衡論の基礎について初歩から応用まで丁寧な
解説がなされました。その後、セミナーも含め、鉱物の相転移に基づいた深発地震の発生
機構モデルから下部マントルの鉱物学的考察まで、スラブ内で起こると考えられる種々の
現象、鉱物の相転移、スラブの沈み込み角度、水(脱水反応)など最先端の研究成果を交
えながら、スラブダイナミクスに関し総合的な解説をいただきました。ご発表内容は鉱物
物理から、数値計算、地震学データの解析まで実に多岐にわたっており、その独創性に
溢れたアイデアと手法に固執しない広い視野からのアプローチ、最終的には物質科学的
立場から地球内部の実質的な問題を理解しようとするご研究スタイル、そしてそれらすべ
てをお一人で行ってしまう多才さに驚きとともに大変に感銘を受けました。本研究センター
のいずれのグループに所属する学生にとっても、実に多くを学び得る示唆に富んだお話し
だったと思います。今回先生のお話を聞き、 あらためて地球内部科学に魅せられた学生
も数多いことでしょう。我々にとっても見習うべき点が数多くあったと思います。
なお、今回のセミナーには、本学で今年度より開講されているスーパーサイエンスコー
スの学生を含む低学年の学部学生数人も参加し、最先端の科学や 専門的な雰囲気に
触れ大いに刺激を受けたことでしょう(土屋卓久)。
開催案内
13th GRC International Frontier Seminar
"The laboratory study of seismic wave dispersion and attenuation in
upper-mantle materials: progress and prospects"
講師:Ian Jackson(オーストラリア国立大学教授)
"Laboratory measurements on elasticity on Earth materials at high
pressure and temperature"
講師:Jennifer Kung(台湾国立成功大学地球科学研究所)
日時:2005年9月12日(月) 16:00-18:30
場所:理学部講義棟2F201室
学術創成研究中間ヒアリング
7月20日に日本学術振興会において本学術創成研究の中間ヒアリングがおこなわれ、
代表者の入舩と今年度から分担者に加わった土屋が出席しました。本研究グループは折
しもSPring-8における実験中であったため、直前に得られた成果も含め最新の研究成果
や今後の展望について発表をおこないました。本研究の柱である超高圧発生と弾性波速
度測定に関して順調に技術開発がすすんでおり、関連して様々な研究成果がでている旨
の報告の後、引き続き審査員による質疑応答がおこなわれました。研究の中間報告およ
び評価結果は学術振興会のホームページにて公表される予定です。
新しい超硬材料を用いたX線その場観察
GRC研究員の新名と末田(H.17.9より東大ISSPに転出)らは、従来の国産焼結ダイヤモ
ンド(SD)アンビルに加えて、新たにオーストラリア製SD(DIACOM)および国産cBNアンビル
を用いた超高圧発生およびX線透過度テストをおこないました。cBNアンビルは圧力発生の
点ではSDに及ばないものの、その透過度の高さからX線窓材としての有効性が確認されま
した。また、DIACOMはSDアンビル大型化をめざす上で一つの選択枝となることが示されま
した。なお、山崎教員(H.17.4より岡山大ISEIに転出)らは、7月のSPring-8において55GPa,
1000℃領域でのX線その場観察に成功しました。
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