"c2c" キックオフミーティング
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写真:招待者の1人、ミシガン大学のL. Stixrude教授の講演 |
2007年2月26日〜28日の3日間にわたり、イタリア・ミラノ近郊の小都市ベルガモで "Crust to Core (c2c) - the fate of subducted material"というタイトルの会議が開かれ、私も参加してきました。この会議はヨーロッパの新しい地球深部科学のコンソーシアム(略称c2c)の立ち上げを兼ねており、アメリカ(2)、オランダ(1)、イスラエル(1)、日本(1)から5件のフルサポートの招待講演、構成研究機関からの10件の研究発表と11件の研究機関紹介の講演、またc2c構想の説明がありました。
地球深部科学関係のコンソーシアムとしては、全米の代表的研究機関が加わりNSFにより支援されている"COMPRESS"があり、関連分野の大型予
(写真:招待者の1人、ミシガン大学のL. Stixrude教授の講演) 算の獲得や放射光施設などのバックアップをしています。これに対してc2cはEUから予算を獲得し
ていますが、博士課程学生の支援やポスドク雇用経費を各構成研究機関に措置することにより、若手研究者のヨーロッパ内での流動化と育成を主な目的としています。
全体で60-70名程度のこじんまりとした研究集会でしたが、ヨーロッパ各国の地球深部科学の代表的研究機関が何をめざしているか、またそれぞれがどのような特徴をもたせようとしているかがよくわかり、大変貴重な経験でした。また、日本やアメリカにない装置や技術開発もすすめられており、発想の違いやユニークさを感じました。この分野ではドイツのバイロイト地球科学研究所(BGI)が研究の中心となっていることは確かですが、各国にそれぞれの拠点があり、今回のコンソーシアムはその多様性を有機的に連携させ、若手研究者の育成のネットワークづくりを推進することに大きな特徴があるようです。
ベルガモはミラノから車で1時間ほどの小さな町ですが、中世のたたずまいをみせる丘の上の街並など、歴史を感じさせるところでした。この丘の上にあるレストランでのディナーや会議の合間のティータイムでは、普段はあまり話す機会のないヨーロッパ各国の学生や若手研究者ともゆっくり話す機会があり、楽しいひとときを過ごすことができました。日本人は私だけで、また町でも東洋人を全く見かけなかったのには少し心細さを感じましたが…。
ただ、いつも思うのですが、イタリア人の楽天的さにはなかなかついていけないと感じた一幕もありました。年度末の忙しい時期なので3日間の会議だけでてとんぼ帰りの予定だったのですが、ミラノ発の帰りの飛行機が乗り換え先のフランクフルト強風のため、3時間遅れに。乗り継ぎの時間があまりないので大丈夫かと尋ねると、向こう出発の便もきっと遅れてるから大丈夫との返事。とりあえず納得してフランクフルトに着いてみると、日本行きはとっくに出発ずみでした。おかげでこの忙しい時期に、ドイツで一泊するはめになってしまったのは大きな誤算でした。
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