8月26日〜31日まで、イタリアのVerbania
で開催された第6回高圧鉱物物性セミナー(6
th High Pressure Mineral Physics Seminar, HPMPS)
に参加させて頂きました。この会議はこれまで日米セミナーとして5年に一度、主に日米の高圧地球科学研究者
によって行われてきた会議を発展させたもので、今回から欧州の研究者も参加するようになりました。
私にとって、はじめてのヨーロッパで全てが貴重で楽しい経験になりました。
Verbaniaはイタリアとスイスの国境をなすイタリアン・アルプスにあるマジョーレ湖のほとりに
位置する小さな街です。湖畔の小さな教会を中心とした街で、石畳の細い路地が連なっており、中世ヨーロッパとは
こういう雰囲気だったのだろうと思わせる、とても美しいところでした。
この会議は参加者が約100人とふつうの国際会議にくらべると小規模な、高圧地球科学分野に的を絞った研究者の集まりです
。参加者のほとんどが会議の行われているホテルに宿泊していたため、参加者がそれこそ朝から晩まで一緒の時間を過ごしました。
食事の時間、野外巡検、カンファレンス・ディナーなど、わたしのような駆け出しにとっては、著名な研究者の方々と知り合うま
たとないチャンスをたくさん頂けたことがなによりも貴重でした。これまで論文を通してのみ認識していた方々と直接お会いする
ことができ、心躍る思いでした。自分もサイエンスに少しでも貢献したいという思いをあらたにしました。
私自身にとっては、このような本格的な国際会議におけるはじめての口頭発表がありました。
しかも初日の、カリフォルニア大バークレー校のJeanloz教授、カーネギー研の博士につづく3番目の発表でした。
この順番のプレッシャーに押しつぶされそうになり、飛行機では離陸から着陸までずっと寝ていることが多い私が、
成田からミラノまでの14時間ほとんど一睡もできない状態でした。そんな状態でのぞんだ発表でほとんど記憶がありません。
しかし発表が終わってしまったあとは気がとても楽になって会議を楽しむことができました。なお会議の口頭発表では、
私以外にGRCから井上助教授が放射光を利用した高圧相の状態方程式の話しを、
また入舩センター長が招待講演として超高硬度合成ダイヤモンドの話しをおこないました。
会議の発表の中で私がとくに興味をもったものが2つありました。1つ目はシカゴ大のWang博士による発表でマントル遷移層の
温度圧力条件における変形実験を可能にする装置についての発表です。この装置を用いた実験は主にアメリカの第3世代放射光施設
APSで行われており、X線回折とX線イメージングの技術を併用して行われます。マントル内部での物質移動の様子を物質科学的に
解釈するためには、マントル鉱物の変形に関する情報が不可欠です。この装置により新たな結果が得られるのではと感じました。
2つ目はInelastic X-ray scattering (IXS)という手法を用いて高圧下の試料の弾性波速度を測定するという発表です。
この実験はパリ大のFiquet博士とカーネギー研のMao博士によって独立にヨーロッパとアメリカの放射光施設で行われています。
100 GPa以上の高圧下での弾性波速度を測定できるという点に驚きました。
今回このような貴重な体験をさせていただきとても感謝しております。またこのような機会があればぜひ参加させていただきたい
と思います。また、できれば外国で研究生活を送ってみたいという思いを強くしました(西山 宣正)。
第18回国際鉱物学連合総会
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写真1:エジンバラ国際会議場 |
9月1日〜6日にイギリス、スコットランドのエジンバラで第18回国際鉱物学会
(18th general meeting of the International Mineralogical Association)が開催されました。この会議は、4年に1度開催される国際会議で、
世界中の鉱物・岩石・地質などの研究者が集まります。次回は2006年に神戸で行われることが決まっています。
エジンバラは、イギリスの北方に位置するスコットランドの中心地で、古い街並みが多く残るとても美しい街でした。
会議は、とても広くきれいな「エジンバラ国際会議場」で行われました(写真1)。
口頭発表でもポスター発表でも、熱心な議論が行われ、今後の研究の参考になりました。
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写真2::特別講演をするセンター長 |
今回の学会では9件の特別講演があり、そのうちの1件は、入舩センター長の放射光を用いた超高圧実験に関する講演でした
(写真2)。
今回の国際会議に参加させていただき、とてもいい経験になりました。今後も研究に励み、
次の学会でもいい成果発表ができるよう、がんばりたいと思います(阪本志津枝)