昨年度開始したGRC国際レクチャーは、唐戸俊一郎エール大教授、Ian Jacksonオーストラリア国立大教授、Yanbin
Wangシカゴ大・APS研究員、Hokwang (Dave) Maoカーネギー研究所研究員という、地球深部物性科学分野で世界をリードする4名を迎え、延べ人数200名余りの参加者を得て成功裏に終わりました。学外からも東北大、東大、慶応大、名大、京大、岡山大、広島大、SPring-8など様々な大学や研究機関から教官、研究員、学生の参加があり、それぞれ2日間にわたる講義やセミナーに聞き入り、活発な討論をおこないました。
本レクチャーはGRCの目標の一つである"国際性"を重視した研究・教育の展開のため、世界一流の研究者の研究姿勢を学ぶことを重要な目的としています。GRCには外国人客員ポストが措置されておりこれを有効に活用することにより、また科学研究費「学術創成研究費」による共同研究招聘研究者として、今年度は上記4名のこの分野を先導する研究者を招くことができました。唐戸教授はともかく、研究所に所属する他の3名の方は長い講義をするのはいずれも初めての経験で、特にJackson教授とWang博士はGRCに長期滞在の間、周到な準備をされていました。また、Mao博士はSPring-8での実験途中にもかかわらず精力的に6つのレクチャーと1つのセミナーをしていただき、同氏の最先端の研究成果とともにその考えや姿勢にも触れることができ大変有意義でした。 今回の一連の国際レクチャーは、若手研究者や学生に大きな刺激を与えるとともに、我々教官にとっても大変意義深いものでした。唐戸教授やJackson教授のアメリカやオーストラリアの一流大学での講義は、我々にとって色々と反省させられる点も多く、むしろ教官のほうが多くのことを学ぶことができた気がします。我が国の大学でも教育の重要性が指摘され、教官同志の授業参観などが盛んにおこなわれている昨今ですが、このような世界をリードする研究者の講義に教官自身が参加することは、研究のみならず教育の質を高める上でも非常に効果的なFD活動だと感じました。来年度も更に分野を広げて、この試みを続けていきたいと考えております。
GRCの研究・教育活動の国際化に関連して、GRCと北京大学の理論応用地球物理学研究所(Institute
for Theoretical and Applied Geophysics, ITAG)との間で研究・教育両面における緊密な共同体制を構築することが合意され、その一環として本年9月8日〜11日の4日間にわたり北京でGRC-ITAG合同シンポジウムを開催する運びになりました。GRC、ITAGそれぞれ数名の特別講演に加えて、教官、研究員、大学院生などによる口頭、ポスター発表を予定しており、これにはGRC研究員や客員研究員を始めとした関係者の皆様の積極的ご参加を期待したいと考えております。また、今年度は超高圧分野および地震学分野において、フランスから大学院レベルの若手研究者を長期間受け入れる予定です。すでにGRCには多くの外国人研究員や大学院生が在籍していますが、このような国際的雰囲気が学生や大学院生・若手研究者に刺激を与え、国際的感覚を持った多くの人材がGRCから育っていくことを願っております。
← Back