高圧下弾性波速度測定装置 
 地球科学において鉱物の超音波速度すなわち弾性波速度を測ることは、地震波観測データと比較して地球内部の様子を知る上でとても重要です。超音波音速測定装置は主に3つの部分からなっています。ひとつは高周波の電気信号を発生するファンクションジェネレーター、次に電気信号と超音波を相互に変換するトランスデューサー、最後に帰ってきた信号を観察するオシロスコープです。  
 地球内部に存在する鉱物は超高温高圧実験で合成しますが、合成できる試料はとても小さく(〜1mm3)、正確な弾性波速度を見積もるためには波長が短い波つまり高い周波数の波で測定する必要があります。本装置のファンクションジェネレーターは80MHzまでの連続波と25MHzまでの断続波または任意波形を発生することができ、弾性波速度の周波数依存性や、小さなサンプルの分解能の高い測定が可能となっています。また、試料が小さい分、試料からの信号も非常に弱いので、本装置のオシロスコープは0.1μVの分解能を持ち300MHzまでの波形が測定できるようになっています。現在トランスデューサーとして、厚さ0.06mmのLiNbO3(共振周波数:55MHz)を使用しています。
 今後、この超音波音速測定装置を本センターの高圧装置と組み合わせることにより、地球深部に相当する高温高圧条件下での弾性波速度の測定をおこなうとともに、放射光を利用したX線回折の同時測定を目指しています。


                             
                              

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