ORANGE-3000
地球深部の物質科学的研究のための静的超高圧装置として、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)と、多くの超硬合金アンビルを組み合わせたマルチアンビル装置(MA)の2つがよく用いられます。MAにはDIA型装置と分割球型装置の2種類があります。前者はその形状から放射光X線その場観察実験によく利用されていますが、GRCに2003年3月に完成したORANGE-3000は、現存するDIA型装置としては世界最大のものです。
ORANGE-3000においては、一体型のガイドブロックの採用による剛性の確保とともに、GRCのアイデアがもとになり住友重機により開発された、弾性変形調整法による3軸均等加圧の実現が設計に取り入れられています。また、第1段アンビル交換用アームの設置や、アンビルベースの設計においても独自の仕様となっており、非常にユニークな大型超高圧発生装置です。
ORANGE-3000では通常第2段アンビルとして一辺36mmの超硬合金を用いており、これに最大3000トンの力を加えることにより、1cm3程度の領域に約25万気圧の圧力発生が可能になっています。また第1段アンビルの交換により、超硬合金よりはるかに硬い焼結ダイヤモンドアンビルの使用が可能になり、これにより50万気圧を大きく超える圧力領域での実験が見込まれています。現在その特徴を生かして高温高圧下での物性精密測定、試料合成、焼結実験、超高圧発生等に大きな威力を発
揮しつつあります。