高温微小部X線回折装置
地球科学において、鉱物の同定を行うためにはX線回折法は必要不可欠の方法です。本装置は鉱物あるいは物質のX線回折実験を行い、その同定及び格子定数が精密に求められる装置です。
本装置は粉末試料を測定する縦型回折ゴニオ装置と微小領域を測定できる縦型微小部X線回折装置からなっています。X線発生源は回転対陰極型であり、Cu アノードでの最大許容負荷は21kWで、最高42kV, 500mAの条件でX線回折実験を行うことが可能です。このような高出力が可能なために、微小領域の測定を数十分程度で行うことが可能なようになっています。微小領域測定用のコリメータには100、50、30、10μmのものが用意されており、かなりの微小領域測定ができることが解ると思います。検出器には湾曲型のPSPCが採用されています。
さらに、縦型回折ゴニオ装置には試料高温加熱装置を取り付けることができ、大気圧中では1500℃までの高温での粉末X線回折実験が可能です。高温での実験によって鉱物の高温下での変化(相転移・溶融等)の検出、及び熱膨張率を求めることができます。
本センターでは主に地球内部の状態を調べることを目的に、超高圧下で鉱物の合成を行っており、地球表層では得られない貴重な高圧相をたくさん合成しています。しかし、極端条件のために得られる試料は1mm3に満たないことがしばしばです。さらに複雑な系で試料の場合、いくつかの高圧相が共存しており、その1つの鉱物をねらって測定する必要がしばしばあります。本装置によって、このような高圧相の同定を行うことができるとともに、試料高温加熱装置を利用して各種高圧相鉱物の熱膨張率の決定が可能です。