第43回高圧討論会(松山:11/27-11/29)
第43回高圧討論会は、平成14年11月27日(水)〜29日(金)に松山市の愛媛県県民文化会館で開催されました。四国での開催は徳島における第26回(1985年)以来17年ぶり、愛媛県では初めての開催になりました。討論会の実行にあたっては、愛媛大学に新設されたばかりの地球深部ダイナミクス研究センターの高圧関係者を中心に、理学部や工学部、また周辺の大分大学、高知大学、広島大学の諸先生にも委員をお願いして実行委員会を立ち上げ、1年前から準備をおこなってきまいりました。必ずしも交通の便がよくない四国の地方都市に従来どおりご参加いただけるか心配しておりましたが、ふたをあけてみると過去最高を10件近く上回る288件の発表と約400名の参加者があり、実行委員一同胸をなでおろしました。また8社の企業による展示もおこなわれ、参加者との間で技術交流や商談がなされました。
本討論会では通常の一般講演やポスターセッション以外に「ダイヤモンド-合成・焼結と高圧科学への利用-」、「高圧下NMR」、「超高圧地球科学と物性科学」の3つのシンポジウムが連日おこなわれ、いずれも多くの参加者による活発な討論がおこなわれました。また第1日目の夕方には若手の会と圧力スケールWGの集まりが開かれ、それぞれ熱心な研究交流がなされました。
2日目のポスターセッションの後におこなわれた学会賞授与式では、昨年度の学会賞創設以来2人目の受賞者である三島修会員(物質・材料研究機構 物質研究所)に対して、近藤建一会長から賞状と記念品が授与されました。ひき続き三島先生による「水と2つのアモルファス氷の関係」と題する受賞記念講演がおこなわれるとともに、井田喜明姫路工業大学理学部教授(火山噴火予知連会長)による「火山噴火における圧力の役割」と題した特別講演がおこなわれ、ともに多くの参加者が熱心に耳を傾けました。
特別講演の後におこなわれた総会では、清水宏晏前会長による挨拶の後、会則の大きな改正を含む議案書が提案され、これが多数の賛成により承認されました。また総会の最後には、近藤新会長による所信表明がありました。これらを通して現在学会が大きな転換期を迎えており、今後の更なる発展のためには会員の一層の努力と協力が必要なことが多くの会員の共通認識になったように思います。
(
左:三島修先生、右:近藤建一学会長) (特別講演者:井田 喜明先生)
総会後会場内でおこなわれた恒例の懇親会には160名程度の参加者があり、討論会の合間のひとときの歓談をお楽しみいただきました。実行委員長および学会長の挨拶の後、本討論会開催に多大なご援助をいただいた鮎川恭三愛媛大学長による祝辞をいただきました。続いて地元の樽酒「にきたつ」で鏡開きをおこない、森吉孝先生(元会長・(財)かがわ産業支援財団 高温高圧流体技術研究所長)の乾杯の音頭により宴がはじまりました。
席上、学会賞の受賞者である三島先生にスピーチをいただきました。また記念品として配られた地元"砥部焼き"のぐい呑みが、ご列席いただいた小松正幸愛媛大学副学長の娘さんご夫婦(窯元スギウラ工房)による手作りの品であることが披露されました。さらに第44回高圧討論会実行委員長である慶応大学理工学部辻和彦先生からご挨拶があり、次回は平成15年11月21日(金)?11月23日(日)に横浜市の慶応義塾大学キャンパス内で開催する予定である旨のアナウンスがありました。
懇親会の宴もたけなわの頃、アトラクションとして松山の伝統芸能?である「野球拳おどり」が、"本家家元3代目"の音頭により披露されました。また出席者の全員参加による野球拳もおこなわれ、最終勝者2名には実行委員長から記念品が授与されました。「野球拳」に対する世間一般のイメージから、若干の混乱が生じることを実行委員一同懸念しておりましたが、家元の手際良い司会と出席者のご協力により大変盛り上がり、これまたほっと胸をなでおろしました。
(懇親会での野球拳踊り)
今回の討論会を終えて、いくつかの反省点もありました。一つは会場の部屋の鍵があく時間が初日のセッション開始直前40分前で、会場設営が極めて大変だった点です。前日から1部屋だけは確保してあり機材を運んでありましたが、人海戦術でなんとか間に合ったとはいえかなりの冷や汗ものでした。また部屋が若干狭い会場があった点と、会館の規定により会場での飲食を禁止せざるを得ず、お茶のサービスができなかった点では参加者に大変ご不自由をおかけしてしまいました。また、特にこの1年程度の間にプレゼンテーションの主流がOHPからパワーポイント等に急速に変化したことに対応できず、会告では例年に倣いOHPのみとアナウンスせざるを得ませんでした。最終的にプロジェクターの準備は一応しておき、どうしてもという場合にはなんとか対応しましたが、今後の討論会でこれをどう扱うかは重要な検討課題かと思います。
会場の使用時間が限られているため、いくつかの講演はポスターにまわっていただきました。このためポスター発表は120件を上回る多数になりましたが、ポスター会場を広めにとることにより比較的ゆったりとスペースを確保できたのは概ね好評のようでした。また、ポスターセッション、特別講演、総会、懇親会のため大広間を分割して時間差利用したのは、経費節約や時間の有効利用、会員の散逸防止にも役立ったように思います。
最後になりましたが、本討論会開催にあたりご尽力いただきました実行委員の皆様、座長、招待講演者、共催・協賛同学協会、広告・展示企業、愛媛県県民文化会館、愛媛県コンベンションビューロー、愛媛大学、また終始適切な助言と援助をいただいた事務局、その他多数の関係者の皆様に心よりお礼申しあげます。
第43回高圧討論会実行委員長 入舩徹男