愛媛大学上級研究員センターの出倉春彦研究員、土屋旬上級研究員及び地球深部ダイナミクス研究センターの土屋卓久教授、桑山靖弘助教は、第一原理電子状態計算及びダイヤモンドアンビル装置を駆使して圧力約200万気圧、温度4,000K以上という超高圧高温下において、二酸化チタン(TiO2)の新規高圧相を理論的に予測するとともに、同時に実験により検証しました。
発見された高圧相はリン化二鉄(Fe2P)型結晶構造を持ち(図1)、これまでに知られている二酸化物の中で最高密度相である事が示されました。また、相転移に伴って光学的性質が大きく変化する事も観測され、この高圧相が特異な物性を有することもわかりました。本研究で見出されたFe2P型構造は、先に同研究グループによって理論的に予言されていた地球型巨大惑星「スーパーアース」深部に存在するとされる二酸化ケイ素(SiO2)の高圧相と一致しており、本発見はその理論予測を裏付けるものです。
理論・実験の双方から新たな高圧相転移を発見・検証した例はこれまでに少なく、若手研究者を中心として実施された本研究は、GRCが推進しているGCOEプログラム「先進的実験と理論による地球深部物質学拠点」の特色を最大限に活かした重要な成果です。この研究成果は、アメリカ物理学会で最も権威ある科学誌である「Physical Review Letters」のオンライン版で7月22日に発表されました。
図1:リン化二鉄(Fe2P)型二酸化チタン(TiO2)の結晶構造。大きな球と小さな球は
それぞれチタン原子及び酸素原子を表す。チタン原子と近接する酸素原子に
よりTiO9配位多面体が構成されている。
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理論・実験コラボレーションの成果:二酸化物の最高密度相を発見